【報告】第11回適正技術フォーラム「脱炭素社会構築と原発 – 技術選択の適正さを問う-」

2021年9月11日(土)に、第11回適正技術フォーラム「脱炭素社会構築と原発 – 技術選択の適正さを問う – 」がオンライン(Zoom)で開催されました。今回のフォーラムでは、第9回、第10回でも取り上げました、脱炭素社会構築の議論を深めるべく、「脱炭素社会構築のための原発」という技術選択の適正さを、経済面ならびに安全面から科学的に検証し、議論しました。当日は、27名(講師・モデレーター・事務局含む)の方々にご参加いただきました。ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

講演に先立ち、まず、ATFJ/APEX代表理事の田中直より、〈脱炭素社会構築のための適正な技術選択に関する提言〉の紹介がありました。この提言の中に「不確実な技術に依存しない。不合理な技術選択を避ける。」という項目がありますが、今回のフォーラムでは、特に原発について、それが適正な技術選択であるのかどうかを議論したい、とのことでした。
最初の講演としては、龍谷大学政策学部教授 大島堅一氏より、「原発の真のコストを考える」という演題でお話をいただきました。原子力発電は、「安い」と言われてきましたが、試算に含まれていない費用があることなどから、それは誤りであること、また、開発費用は国が、廃炉費用や損害賠償費用は電力消費者が負担する仕組みになっていることなど、原子力発電の主にコスト面に関する問題点について、データに基づきわかりやすくご説明いただきました。
次の講演として、元東芝原発設計技術者であり、原子力市民委員会委員の後藤政志氏より、「原発の『安全性追求』の技術的帰結」というテーマで、講演がありました。まず、日本での「安全性」の考え方の問題点についてご指摘があり、いかに日本の原発では安全性が成立していないかを、原発の構造に基づきご説明いただきました。また、福島原発事故から10年が経っても、解明されていない問題がまだ半分ほどあるそうで、そのような中で再稼働するのは、 “『次の令和の大規模事故を準備している』に等しい”と警報を鳴らされました。
続くパネルディスカッションでは、國學院大學研究開発推進機構客員教授古沢広祐氏にモデレーターをお願いし、2名のパネリスト(講師)とともに、議論を深めました。原発に関する議論をオープンにする必要性や、原発はなぜフェイルセーフ化するのが難しいかなど、一旦閉会後も、たくさんの質疑や意見が交わされました。

 

 第9回から、脱炭素社会構築をテーマとしたフォーラムを連続して行なってまいりましたが、今後は、持続可能な社会における経済システム等を考えるフォーラムも計画しております。皆様のご参加をお待ちしております。

 

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