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脱炭素社会構築のための適正な技術選択に関する提言

経緯

今日、脱炭素社会の構築は、きわめて重要で緊急性の高い課題であり、世界が破滅的な事態に陥らないために、どうしても成し遂げなければならないものです。それは、未来に生きる人々に対する私たちの責務であるばかりか、もはや、今を生きる私たち自身の生存のためでもあります。日本でも、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことが打ち出されましたが、そこにいたる道筋は必ずしも明らかでありません。

適正技術フォーラムでは、2019年に、特定非営利活動法人APEXによる〈持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク〉の策定に関わり、それに賛同してきました。このフレームワークは、かつての適正技術の活動・運動に学びつつ、その弱みを補って、持続可能な開発のための技術のあり方を10の原則にまとめたもので、先進国にも開発途上国にも適用できます。

脱炭素化は、まさに持続可能な社会形成の要となるものであることから、適正技術フォーラムならびにAPEXでは、この包括的フレームワークを参照しつつ、〈脱炭素社会構築のための適正な技術選択に関する提言〉をまとめました。この提言は、2021年2月27日に開催された第9回適正技術フォーラムで議論され、賛同を得て、発信が開始されています。

提言の概要

提言の構成

提言は、以下の八項目から構成されています。
1. 化石燃料文明からの脱却
2. 持続可能な形で供給できる資源の側から脱炭素社会を構想する
3. 小規模分散型システムの重視
4. 市民・住民参加による技術選択を
5. 大工場のあり方
6. 都市のあり方
7. 不確実な技術に依存しない。不合理な技術選択を避ける。
8. 開発途上国に対する責務

主な論点

主な論点は以下のとおりです。

これまでの低炭素化・脱炭素化の検討の多くは、既存の商品生産・サービスは、効率化・デジタル化等をともないつつも保持・拡大することを前提し、そこにおけるエネルギー供給を、省エネで抑えつつ再エネ等で置き換える、という、いわば「同型置換」的な考え方でなされてきました。その考え方ではどうしても無理が生じ、また、人間・社会の豊かさとは何なのかが問われることもない、という洞察から、この提言では、持続可能な形で供給できる資源の側からの脱炭素社会の構想へと根本的に転換していくことを提案しています。

そして、食糧、水、エネルギーなどの基本的ニーズの充足においては自立性が高く、その一方で広域的交流・流通にも開かれた、小規模分散型の社会・経済・技術システムを、住民・市民の総意と参加にもとづいて構築していくことをうたっています。

そのような小規模分散型システムが、社会の土台をなす「地の部分」として位置づけられますが、それにはおさまらない、都市や大工場のあり方にも触れ、さらに、不確実な技術に依存しないこと、不合理な技術選択を行わないこと、これまで大部分の温室効果ガスを排出してきた先進工業国は、開発途上国に対して果たすべき責務があることを論じています。

適正技術フォーラムならびに特定非営利活動法人APEXでは、この提言が多くの方々に受けとめられ、脱炭素社会の構築に資することを願っています。

お問い合せ先

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