【新刊案内】『現代適正技術論序説-近代科学技術に代わる技術体系をめぐって』
このたび、『現代適正技術論序説-近代科学技術に代わる技術体系をめぐって』(社会評論社、SQ選書)という本を出版させてもらうことになりました。以前出した『適正技術と代替社会-インドネシアでの実践から』(岩波新書)は主に実践のまとめですが、今回の著作は、実践をふまえた全体的な理論の端緒となるものです。ご関心をもっていただけるようでしたら、どうぞご一読下さい。下は、内容の紹介です。(田中直)
※なお、この本は田中個人の著作であり、団体としての適正技術フォーラムの見解が述べられているわけではありません。
今日、もうこれまでの際限のない成長を求め続ける経済と、効率の増大・高速化・大規模化・新規性等をどこまでも追及する近代科学技術にもとづく文明を維持していくことはできず、それとは根本的に異なる原理をもった文明に転換していかなければならないことは、多くの人が感じているところではないでしょうか。それは、中世から近代への転換に匹敵するような、近代から次の新しい時代への大きな転換になるはずです。この本では、かつての近代科学技術批判や、適正技術の運動・思想に重要な手がかりを求めつつ、来るべき時代の技術のあり方を包括的フレームワークとして提起し、未来社会の全体像をも展望しています。
[発売日・価格等]
2022年5月10日発売(アマゾン、楽天ブックス等で予約受付中)、社会評論社刊、四六判並製200 頁、本体1700 円+税
[目次]
第1章 近代科学技術批判の射程
第2章 適正技術をめぐって
第3章 貧困と格差の問題と適正な技術選択
第4章 環境と資源の問題と適正な技術選択
第5章 人間・労働疎外の問題と適正な技術選択
第6章 持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク
第7章 脱炭素社会構築のための適正な技術選択
第8章 アジア地域に適合的なコミュニティ排水処理システムの開発と普及
補 論 ユニバーサル・コープと望ましい未来社会に関するノート
[著者略歴]
特定非営利活動法人APEX代表理事/適正技術フォーラム共同代表。1976 年、東京大学工学部卒業。石油会社にて、石油精製プロセス管理、排水処理の技術開発などに従事する一方、1987 年より、国際協力NGO、APEX代表、1999 年より専従。理学博士。著書に『適正技術と代替社会-インドネシアでの実践から』(岩波新書)、編著に『転換期の技術者たち-企業内からの提言』『第三世界の問題を考える』(以上、勁草書房)、『エネルギー問題-工業化社会における自然と労働』(社会評論社)、『暮らしと技術を変える』(亜紀書房) 他。